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暮しを楽しむの手帖
旅館國崎#3 男女別の内湯に、趣の異なる3種の貸切風呂。“大人の隠れ宿”で心ゆくまで楽しむ源泉かけ流しの湯あみ

皆さんは「日本秘湯を守る会」をご存じですか?日本の古き良き温泉文化を大切に守っていこうという理念のもと1975年に活動をスタートした組織で、現在は審査基準をクリアした全国148か所の宿が登録。会員宿の玄関に掲げられる同会の提灯は、テレビの旅行番組でもおなじみの光景となっています。

そんな日本秘湯を守る会に“美しい夕陽と至福の湯あみ”と評されているのが、小浜温泉にある「旅館國崎」。館内にある男女別の内湯と3種類の貸切風呂(石、ひのき、露天)は全て源泉かけ流しで、宿泊のお客様は時間内であれば何度でも入浴できるのが大きな魅力です。

今回の記事では、そんな「旅館國崎」の温泉について若女将の井上尚子さんにインタビュー。国内外の温泉通を虜にしている國崎のお風呂の魅力に迫ります。

保温・保湿効果の高い塩化物泉。個性豊かなお風呂で昔ながらの源泉かけ流しを楽しもう

地下100mに位置する源泉から毎分430リットルものお湯が湧き出ている旅館國崎。まずは温泉の特徴をお聞きしていきましょう。

尚子さん:泉質は“ナトリウム-塩化物泉”、源泉温度は97℃。無色透明のなめらかな湯ざわりが特徴で、入浴すると温泉に含まれている塩分が肌をコーティングするため、保温・保湿効果が高いと言われています。効用は神経痛・筋肉痛・関節痛・疲労回復など。成分は海水に近く、脱力すると体が浮いてくるので湯船の中でプカプカと癒されるのもオススメです。

男女別の内湯に3種類の貸切風呂と、趣の異なる源泉かけ流しのお風呂を楽しめるのが國崎の大きな魅力です。

尚子さん:内湯は創業当時からあるお風呂でゴツゴツした石の壁が印象的。実は小浜の海から持ってきた石をはめ込んで石垣風にデザインしているので、湯あみをしながら独特の風情を感じていただけます。3階の“露天風呂”は気持ちの良い風を感じることができる開放的な空間。晴れた日の夜に入浴すれば、満天の星空を見上げながらのくつろぎのひとときを過ごすことができますよ。

鯉が泳ぐ中庭を通った先にある“ひのき風呂”はロケーションも素敵でした。

尚子さん:國崎のヒノキ風呂には2つの感動があるんです。そのひとつが和の優美さを感じることができる中庭。数mの渡り廊下にも関わらず、皆さん、小さな箱庭の景色を楽しんでいらっしゃいます。そして、貸切風呂の扉を開けると豊かな檜の香りがお出迎え。広々とした湯船に浸かれば、まるで森林浴をしているかのような感覚で日頃の疲れを癒していただけます。

そして、若女将イチオシのお風呂が1階の玄関横にある“石風呂”。

尚子さん:“石風呂”は、もともと倉庫だった場所を改装して設置しました。内湯や他の貸切風呂に比べるとこぢんまりとしているのですが、その分、プライベートな時間が楽しめる落ち着いた空間になっています。特徴はなんといっても、入浴しながら冷酒(有料)をお飲みいただけること。ゆったりと旅の疲れがとれるので、石風呂を気に入っているお客様は多いんじゃないかなと感じていますね。

空いていれば自由に入れる貸切風呂。予約のいらないアナログさこそ、小浜の秘湯としての大きな魅力

貸切風呂は予約制という施設も多い中、旅館國崎では空いていればお客様が自由に入ることができるというスタイルを貫いていらっしゃいます。

尚子さん:一番の理由は何度でも当館のお風呂を楽しんでいただきたいから。1回あたり50分という目安は設けていますが、お客様は大変喜んでいらっしゃいます。それぞれの貸切風呂のドアのカギと2階の廊下に設置したランプが連動しているので空き状況も一目瞭然。アナログな方法ではありますが、当館の魅力のひとつになっているのかなと思います。

離れの“やまぼうし”は1階に内湯・露天風呂が完備。

尚子さん:“やまぼうし”の内湯は樽風呂になっていて、窓を自由に開け閉めできるので外の空気を感じながらご入浴いただけます。外湯はひのきの露天風呂。浴槽も洗い場も広めに設計してあるので、ご家族一緒に入ることが可能です。どちらのお風呂も本館で管理しているので、いつでも最適な入浴温度に自動調整。完全プライベートな古民家での快適な入浴タイムをお届けしています。

“やまぼうし”に宿泊すると、本館の内湯・貸切風呂も利用可能。最大で6種類のお風呂が楽しめるのがいいですよね。

尚子さん:少し話は変わりますが、本館は(一社)日本秘湯を守る会のお宿として認定されています。会員宿になるためには「後世に残したい宿・温泉」という審査をクリアする必要があり、2025年2月現在の認定宿は全国に148軒。山深い場所や離島など、本当に秘境のような温泉宿が多い中、当館は比較的アクセスの良い場所にあるので、会員の皆様にもよくご利用いただいているんですよ。

確かに、日本秘湯を守る会の公式サイトを拝見すると温泉地の多い九州でもたった7軒。長崎県内だと旅館國崎のほかに壱岐市の平山旅館さんだけ。

尚子さん:今年(2025年)発足50年を迎える団体ということもあり、その審査基準は「守る会の会員旅館は外れがない」と言われるほど。最近では中国や香港、韓国といった海外の会員さんも宿泊にいらっしゃっています。玄関先に吊り下げられた守る会の提灯は信頼の証。これからも小浜の秘湯として、多くのお客様をお迎えしていきたいと思います。

いかがだったでしょうか。

旅館國崎では立ち寄り湯も行っており、風情のある石の内湯と個性豊かな3つの貸切風呂に入浴することが可能です。利用時間は昼12時~夜20時。料金は内湯/大人500円(税込)・子ども300円(税込)、貸切風呂/大人1,000円(税込・2名~の利用)・子ども500円(税込)とリーズナブルな金額で日本秘湯を守る会にも認められたお風呂を楽しむことができますよ。

ただし、宿泊・休憩のお客様が多くいらっしゃる場合は、立ち寄り湯の利用ができない場合がありますのでご注意を。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
旅館國崎

長崎県雲仙市小浜町南本町10-8 ( Google MAP

営業時間:

チェックイン/15:00~ チェックアウト/~10:00

TEL: 0957-74-3500

URL:https://kunisaki.jp