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暮しを楽しむの手帖
あぶり家COCOから#2 大村の夜を照らす灯台でありたい。空間と鮮度にこだわり抜く「おもてなし」の流儀

長崎県大村市西本町

JR大村駅前の大通りから一本路地へ入った、情緒漂う下波止通り。日が落ちると、楽しげな笑い声が聞こえ始めるこの一角で、2012年から暖簾を掲げているのが「あぶり家COCOから」です。

「『COCOから』という店名には、実は2つのワクワクする意味を込めているんですよ」

そう笑顔で語るのは、オーナーの野中洋平さん。

「ひとつは、ここが私の原点であり『ココからすべてが始まるんだ』という決意。もうひとつは、この街で飲むならまずはウチに寄ってもらって、『ココから次のお店へ繰り出してほしい!』という、地域を盛り上げたい想いなんです」

2022年には時代に合わせて店名を「taberuna COCOから」から「あぶり家COCOから」へとリニューアル。常に進化を続ける同店のこだわりを、「心地よい空間」と「妥協のない食材」の2つの視点から紐解きます。

できないを形に。お客様に合わせて変幻自在に動く、魔法の「可動式掘りごたつ」

今年で15年目を迎える「あぶり家COCOから」ですが、いつ伺ってもモダンで落ち着く、素敵な空間ですよね。

野中さん:ありがとうございます!実を言うと、ここを借りた時はスナックの跡地で、中身が何もない「がらんどう」の状態だったんですよ。厨房設備もイチから作らなきゃいけなくて、この空間をどう活かすか、当時は本当に頭を悩ませました。

あの居心地の良さは、設計の段階から練られていたのでしょうか?

野中さん:そうなんです。特にこだわったのが「掘りごたつ」ですね。ただの掘りごたつじゃなくて、実は「可動式」にしているんです。少人数の飲み会から大人数の宴会まで、お客様の人数に合わせてレイアウトを自由自在に変えられるんですよ。どんなグループの方にも「自分たちのプライベートな空間だ」と感じて、リラックスしてほしかったんです。

おもてなしの精神が、設備にも現れているのですね。接客において大切にしていることはありますか?

野中さん:「気づき」の先回り、ですね。料理を美味しく提供するのはプロとして当たり前。その一歩先、お客様が「あ、これがあったら嬉しいな」と感じる瞬間に、スッと動けるかどうかをチーム全員で大切にしています。自分たちがやりやすい方法を選ぶのではなく、常に「お客様が喜んでくださるか」を基準に考える。人のために動くことの喜びを、スタッフみんなで共有したいと思っています。

チーム全体でその意識を共有するのは素晴らしいですね。日々の準備で心がけていることは?

野中さん:私は、接客も料理も、すべては「準備」で決まると思っています。お客様がドアを開けた瞬間に最高の状態でお迎えできるよう、掃除から仕込みまで一切の手抜きをしません。『ゴキゲンな日を、もっと楽しく。そうじゃない日を、ちょっと楽しく』。そんな想いの積み重ねが、お客様の「また来たい」に繋がると信じているんです。

冷蔵で卸してもらえないなら取りに行く!鮮度抜群「長崎ばってん鶏」に懸ける情熱

お料理も、お肉から魚介まで目移りするほど豊富ですが、特に「これだけは!」というこだわりを教えてください。

野中さん:やっぱり、14年前のオープン時から主役を張っている鶏肉ですね。これには相当な思い入れがありますよ!以前は九州各地の珍しい地鶏を扱っていた時期もあったんですが、5年ほど経った頃に「やっぱり王道の焼き鳥でも、度肝を抜くような美味しさを届けたい」と一念発起しまして。今は、長崎県産の銘柄鶏「長崎ばってん鶏」を看板にしています。

各地の地鶏を経験された上で、地元の銘柄鶏に行き着いたのはなぜですか?

野中さん:本当に納得したものだけを出したかったからですね。実際に各地の養鶏場や加工場を回らせてもらったんですが、そこで気づいたのが鮮度の圧倒的な差でした。どんなに有名な地鶏でも、“冷凍されて届くもの”と“地元で朝引きされた新鮮なもの”とでは、旨味も弾力も全然違う。その衝撃があまりに大きくて、「本当にウマい鶏を食べてもらうなら、絶対に長崎県産の朝引きだ!」と確信したんです。

※Instagramより
「鮮度」こそが一番の調味料だったわけですね。

野中さん:それから九州の有名地鶏に負けない鶏肉はないかと探し回り、「長崎ばってん鶏」に出会いました。柔らかくジューシーな食感、濃厚で奥深い旨味…。「これだ!」と直感しましたよね。ただ、そこからが大変で。卸業者に「冷蔵で仕入れさせてほしい」と伝えると、「うちでは冷凍したものを翌日に卸すことしかしていません」と断られてしまったんですよ。

せっかく理想の食材が見つかったのに、配送の壁があったのですね。

野中さん:一度は諦めかけたのですが、妻から「ここで簡単に引き下がるのは“らしく”ないよね」と発破をかけられまして(笑)。もう一度電話をかけて「毎日、工場まで取りに行くのでお願いします!」と交渉しました。その熱意が伝わって「それならいいですよ」と許可をもらえて。だから『朝引きの長崎ばってん鶏』が味わえるのは大村でウチだけなんですよ。

※Instagramより

「これって、けっこう凄いことだと思いませんか」と笑う野中オーナー。長崎ばってん鶏の柔らかくジューシーな旨味を引き立てるため、調味料にも一切の妥協はありません。

粒の大きさが違う「あら塩」と「さら塩」を乾煎りすることで角のないまろやかな味に仕上げたブレンド塩、継ぎ足しながら守り続けている甘めのタレで焼き上げる焼き鳥は一度食べたら虜になる自慢の一品。「とりあえず串物、なんて言わせないウマさですよ」と野中さんは胸を張ります。

朝引きの長崎ばってん鶏が楽しめる「あぶり家COCOから」。グループでの飲み会や大人数の宴会では5,000円、5,500円、6,000円と飲み放題付きプランも用意されていますので、美味しいお酒と一緒に新鮮な長崎の銘柄鶏を味わってみてはいかがでしょうか。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
あぶり家COCOから

長崎県大村市西本町524 ( Google MAP

営業時間:

18:00~翌0:00(日曜定休)

TEL: 0957-47-5372