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長崎県長崎市銅座町
皆さんは“長崎グルメ”と聞いて何を思い浮かべますか?カステラ、ちゃんぽん、トルコライス…。江戸時代、唯一の貿易港として栄えた異国情緒あふれる港町ならではのグルメの中で、忘れてはいけないのが「長崎角煮」です。
長崎発祥の卓袱(しっぽく)料理の代表的なメニューで、中華料理の東坡肉(とんぽーろう)を和風の味付けにしたのが始まりとされている長崎角煮。その伝統的な美味しさを全国に届けているのが、長崎市にある「角煮家こじま」です。
割烹を営んでいた創業者が2002年に長崎初の角煮専門店としてオープンした「角煮家こじま」。その歴史について取締役社長の川中康之さんにお話を伺いました。

川中さん:創業者は元々、和食の料理人としてさまざまな場所で修業を積んでこられた方。長崎に戻ってこられた後は老舗料亭の総料理長として腕を振るっていらっしゃいました。その後、1993年に独立し、長崎市で「割烹こじま」を開業。地産地消にこだわり、手間を惜しまずに作る“こじまの味”を求めて多くの人が通う名店に成長していったそうです。
川中さん:割烹こじまで提供していた「豚の角煮」の非常に人気が高く、お土産で持ち帰りたいというお客様が多かったことがきっかけだと聞いています。創業者は独立する前の職場で真空パックの商品開発に携わったことがあったということで、その経験を基に「ウチの角煮も真空パックで販売しよう」と決めたのが「角煮家こじま」の始まりなんですよ。

川中さん:そうなんです。開業当初から割烹料理店さながらの作り方にこだわっていて、皮付きの三枚肉に満遍なく火を通すために平鍋で調理を行っていたそうです。そして、角煮まんブームなどで大手スーパーやお土産屋からの注文が増えてスペースが手狭になったことから、2010年に本社工場(田中町)を設立。伝統的な製法はしっかりと引き継がれていて、今もひとつひとつ丁寧に作り上げています。
川中さん:しっかりと油抜きを行ってから平鍋で炊き上げることでホロホロとした柔らかな食感をお楽しみいただけます。味付けに関しては、ショウガが豚肉の臭みを消しつつ、こじまオリジナルの無添加醤油に砂糖とみりんを多めに加えた和食らしい旨味と甘辛さが特徴。完成後に1日寝かせることで肉の芯までしっかりと味を染み込ませているのもポイントですね。

川中さん:はい。当社の商品は長崎駅のかもめ市場や長崎空港、道の駅、ハウステンボスなど主要なお土産コーナーにも卸しているので、観光客のご購入がほとんどです。ただ、お中元・お歳暮のシーズンになると長崎市内にお住いの方がたくさんご来店くださいます。長崎の名物として親族や大切な方へのご挨拶に当社の商品をお選びいただけているのは誇らしいですね。
川中さん:ありがたいことに全国に長崎フェアや九州フェアを楽しみにしてくださっている方が大勢いらしゃって。開催されるたびに買いに来てくださるのが本当に嬉しいです。コロナ禍以降は催事で全国を飛び回る機会は減ってしまいましたが、それでも各地の百貨店やショッピングセンターなどが年に2~3回の催事で当社の商品を展開していただいています。

川中さん:ありますね。例えば、関東や東北の催事では角煮まんがよく売れるのですが、西日本、特に大阪は551蓬莱などに代表されるように地場のまんじゅう系が強いため、角煮単体のご購入が多い印象です。ただ、どの地域に行っても「なんで長崎が角煮なの?」「どうして角煮の味付けが甘いの?」という質問はよく聞かれますね。
川中さん:なので、江戸時代、唯一の海外貿易港として花開いた長崎の砂糖文化についてお話するようにしているんです。長崎の卓袱料理はおもてなしのために高価な砂糖をふんだんに使っており、メニューのひとつに角煮があったこと。当社の商品は昔から伝わる製法と味付けで作っていること。そうやって長崎=角煮をアピールし続けていくことが当社の使命のひとつかなと思います。

卓袱料理の中で生まれた長崎角煮の伝統的な味と製法にこだわり続けている「角煮家こじま」。その美味しさを家庭でもっと気軽に角煮を楽しんでもらいたいと、「角煮まん」や「角煮切り落とし」、「角煮おにぎり」といった現代の暮らしや食生活に合わせた商品を開発・販売してきました。
「中国の東坡肉をベースに、日本の醤油とオランダから輸入された砂糖でアレンジして生まれた長崎の角煮は、和・華・蘭(わからん)文化の集大成。長崎でずっと営んできたからこそ、昔から変わらない“本物の味”を大切にしていきたいですね」
長崎を代表するご当地グルメとして成長した、角煮家こじまの「角煮」や「角煮まん」はオンラインショップで購入可能です。興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。
取材・執筆/Komori Daigo

長崎県長崎市銅座町6-12 ( Google MAP )
営業時間:
9時~19時
TEL: 095-822-7811
通販サイト:https://www.kakuniya.jp/