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暮しを楽しむの手帖
創作料理kasumi#1 琴海エリアの小高い丘に佇む人気の隠れ家レストラン。そのルーツは島原に

JR長崎駅から車で約30分。大村湾の西側に位置する自然豊かな琴海エリアで、風光明媚な景色を楽しみながら美味しい食事をいただける隠れ家レストラン「創作料理 kasumi」は営業しています。

元々は島原市に店舗を構えていた創作料理 kasumiですが、2014年に現在の場所へ移転。半島の奥まった場所にありながら、まるで“大人のお子様ランチ”のようなkasumiセットをはじめとした絶品メニューの数々をゆったりと味わうことができると、多くの人が足を運んでいる人気店です。

そんな創作料理 kasumiの調理を担当しているのが支配人の宮田亮さん。島原時代から厨房で腕を振るってきたという宮田さんにインタビューを行いながら、知られざる創作料理 kasumiの歴史を紐解いていこうと思います。

思いがけずスタートした料理人人生。創作料理kasumiとの縁が私を大きく成長させてくれた

宮田さんはkasumiが島原にあった頃から調理を担当されているということですが、料理人としてはどんなご経歴をお持ちなんですか?

宮田さん:実は仕事で料理をし始めたのは30歳の頃から。元々、接客が好きだったということもあり、イタリアンレストランでホールスタッフをしていたんですけど、なんやかんやあって接客も厨房もやることになりまして…。ピザや前菜、デザートなどの調理を担当しながら5年くらい働いていました。

大抜擢ですね…!

宮田さん:まさか自分が料理を作る方になるとは想像もしていませんでした。ありがたいことに料理人として経験が積めたので、次は思案橋(長崎市)の居酒屋に勤務。団体で100人規模の利用があるような店だったんですけど、刺身を引いたり、揚げ物をやったりとなんでも作っていました。そこでは3年くらい勤めたのかな。

その後、縁があって島原の創作料理kasumiで働かれています。

宮田さん:居酒屋の経験で「料理は何でもできる」という気分になっていたんですけど、kasumiでは社長に「それは料理じゃないよ」「何にもできんやん」みたいなことを言われたんです。最初は反発心もあったんですけど、有名な会席料理店や洋食屋、寿司屋に連れていかれて。目の前には一流の料理が並ぶわけですよ。そこで鼻っ柱を折られて、真摯に料理に向き合うようになりました。

社長の愛情ですね…!

宮田さん:元々、髪結いを生業にしている人なんですけど、40代で引退してパンづくりの資格を取ったり、ル・コルドン・ブルーに通ってフランス料理と菓子を学んだり…。それを活かしてパン教室や料理教室、レストランまでオープンさせちゃう、行動力の塊のような人。社長が島原にkasumiを出店しなければ今の自分はなかったかもしれないので、そう考えるとありがたいですね。

賑わいを生んだゴルフ客、営業がままならなかったコロナ禍…。良きも悪きも経験して育ったkasumiの10年

せっかくなので島原時代のkasumiの話もお聞かせください。

宮田さん:島原の時は駅とお城の間に店があったので繁盛していたんですよ。国内はもちろん、海外からの観光客も多かったかな。当時はレストランというよりは喫茶店という感じ。軽食やケーキを食べたり、コーヒーを飲んだりしながら一休みする人が多かったように思います。ただ、社長が高齢になり長崎から島原まで通うのが大変になり、琴海への移転を決めました。

それが2014年。

宮田さん:この場所では20年近くメイン事業の「どんぐりの森」を営業していたんですよ。ミカン畑だったところにレストランを建てて、島原の店から厨房の機器やテーブル・椅子などを運び込んで…。土地や設備を活用したことでリニューアルはスムーズに進行。オープン後は本格的な欧風創作料理レストランとして営業をスタートしました。

移転リニューアルから今年(2025年)で11年。琴海エリアを代表するレストランに成長したわけですが、振り返ってみていかがですか?

宮田さん:ウチは国道からかなり奥まった立地にあるんですけど、地元の方はもちろん、近くのゴルフリゾートの宿泊客の方にもよく足を運んでいただきました。ゴルフ場へは国内だけでなく、中国・韓国からのお客様もいらっしゃっていたので、モーニングやディナーの時間帯は結構にぎわったかな。コロナ前までは車で送迎をしていたくらいですよ。

そうだったんですね。

宮田さん:ただ、コロナ禍を境にモーニングやディナーのご利用はガクッと落ちてしまって、今はランチ(11~17時)だけが通常営業。モーニングとディナーは予約制で受け付けています。それでも大村湾を見渡す絶景と真心こめた料理を求めて、わざわざ来店していただけるのはありがたい限り。お客様がのんびりと過ごすことができるよう、これからも変わらないスタンスで続けていきたいですね。

大村湾を望む琴海エリアに店舗を構えて早10年。地元で採れる旬の野菜にこだわりながら日々のメニューを手掛けてきた宮田さんは、kasumiを快く迎え入れてくれた地域への想いをこう話します。

「琴海は30~40代の若い世代が一丸となって地域を盛り上げているのが大きな魅力。音頭を取る人、アイデアを出す人、発信する人と、それぞれの得意を生かして活性化に寄与している。アラフィフの自分からすると頼もしい限りですし、だからこそ必要があれば一緒に頑張らせてもらっているんですよ」

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
創作料理kasumi

長崎市琴海戸根町240-2 ( Google MAP

営業時間:

モーニング/9:00~11:00(予約制)
ランチ/11:00~17:00
ディナー/17:00~22:00(予約制)
※年末年始休み

TEL: 095-884-2877