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木や畳のぬくもりを感じる落ち着いた店内と旬の素材を生かしたお得な美食の数々で、2023年のリニューアル移転オープンから人気を集めている大村市の「お料理茶寮きぶん」。テレビ番組で運気アップの贅沢メニューとして“うなぎ御前(刺身付き)”が紹介されるなど、話題を呼んでいます。
「ロケでいらっしゃったのはブラックマヨネーズの吉田さんと塩田みうさん。特に吉田さんはうなぎが大好きと仰っていて、このボリュームで税込2,600円ということにとても驚いていらっしゃいましたね。おふたりのサイン色紙も店内に飾っているんですよ」
懐かしそうに教えてくださったのは店主の鴨川美文さん。30年を越える料理人歴を持ち、50歳で前オーナーから事業を引き継いで開業した鴨川さんに、独立後の印象的なエピソードや「お料理茶寮きぶん」の今後の展望についてお話を伺いました。
鴨川さん:おかげさまでボチボチとやっています。料理人が独立すると経営者の視点を持つ必要があって、苦戦する人が多いらしいんですけど、私の場合、これまで勤めてきた会社で店長や飲食部門の統括をやってきた実績があったので。今までのスタンスとほぼ変わらずに営業できているのが、心のゆとりにつながっているのかもしれません。
鴨川さん:そうそう。売上目標を達成するために営業に回ったり、スタッフの人件費を考えたり…。人手が足りないときは、別の店舗にヘルプで入ることもありました。今は自分の店のことだけ考えればいいので、ずいぶんと気が楽。強いて言えば、「確定申告が大変だなぁ」くらいですね。
鴨川さん:息子の最後の高校総体を観戦したこと。飲食業界って土日祝に営業するので、小学生の頃からずっと私は学校の行事に参加できなかったんですよ。でも、最後の雄姿を見たいと思って、店を休みにして佐世保まで応援に行きました。息子は一度も来たことがない私がいたのでかなり力んでしまったらしんですけど、頑張っている姿を見られたのは本当に良かったですね。
鴨川さん:今度はみんなで旅行に行こうかと話していて。そういう家族との時間を作れるようになったのが一番の変化ですね。これまで身を粉にして働いてきたご褒美なのかな、と。妻からは「今さら家族サービス?」「もう手遅れよ~」なんて冗談を言われるんですけど、子どもが巣立つまでの間、精一杯、父親の役割を全うできればと思っています。
鴨川さん:目標は法人化ですね。今は私個人の会社として経営しているんですけど、まずはスタッフが長く安心して働けるよう福利厚生を充実させていく。良い人材が集まれば多店舗展開ができますし、今の売上から2倍くらいにしていきたいなと。まあ、まだまだ絵にかいた餅のような状況なんですけどね。
鴨川さん:ありがとうございます。長年の勤め人としての経験や見識の影響も大きいんでしょうけど、やっぱり私の持病があるもんですから。
鴨川さん:今はまだまだ元気なので、料理人が私ひとりでも大人数の宴会を捌けているんですけど、5年、10年と先を見据えた時、自分がいつまで戦力になるかわからないですから。早い段階で後進を育てていくためにも、早期の法人化を目指しています。
鴨川さん:その通りです。あとは私がいろんな方にお世話になって料理人として成長することができたので、今度は私が若い世代を育てる番。調理のスキルはもちろん、料理人としての心構えや立ち振る舞いなどを伝えていって、少しでも大村周辺の飲食業界の活性化につながっていけば嬉しいですね。
20歳で料理人としての一歩を踏み出し、寿司店・ホテル併設の料亭・割烹で技術を研鑽。最後は地元企業の飲食事業の統括部長として運営にも大きく関わってきたベテランの鴨川さんだからこそ、スタッフの働きやすさや後進の育成といった点を重視した未来予想図を描いていらっしゃいます。
「30年を越える料理人人生は山あり、谷ありでしたけど、最終的に自分の店を持てたというのは本当に嬉しいですし、今までの出会いに感謝しかありません。これからも自分ペースでボチボチとやりながら皆さんに喜んでいただける店づくりをしていきたいと思います」
取材・執筆/Komori Daigo
※インターネットで「お料理茶寮きぶん」と検索して出てくるホームページはリニューアル前のものとなります。またGoogle等の口コミで掲載されている画像も2023年以前のものが残っていますので、ご予約・ご来店の際はご注意ください。
長崎県大村市東三城町21 ( Google MAP )
営業時間:
昼11:30~14:00(定休:月・水・金)、
夜17:00~22:00(定休:月曜)
TEL: 0957-52-0220